フラ・ナビゲーターよしみだいすけがフラダンサーに贈るメレ・ノート。ハワイ語で歌われるフラソング「メレ」の歌詞と訳詞、補足情報をまとめていきます。
今日のメレは『Queen’s Jubilee』(クイーンズ・ジュビリー)です。
♪マ〜ハ〜ロ〜・ピ〜ハ〜・モイ・オ〜・エネラ〜ニ〜♪
という歌い出しのリリウオカラニ女王のペンによる名曲。
歌詞のエネラニ(ʻEnelani)はハワイ語でイギリスのこと。
1887年、48歳のリリウがこの歌に込めたのは、兄のハワイ国王カラカウアの代理でカピオラニ王妃とともに出席した、イギリスのヴィクトリア女王50年式典に臨むハワイ王国代表の思い。
歌詞&訳詞
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クイーンズ・ジュビリー 感謝の気持ちをイギリス女王陛下に 喜びの時、インドの皇后陛下 |
歌詞の中のキーワード
ハワイ語の歌の意味を知るために最初にチェックしたいのは、歌の中のキーワード。地名・人名・固有名詞や植物・動物の名前を探します。このメレには二つあります。エネラニ(イギリス)とイーニア(インド)です。
どちらもヴィクトリア女王のことです。
イギリス女王在位1837年から1901年。在位50周年式典(ジュビリー)が1887年に行われ、ハワイ王国からはカピオラニ王妃とリリウオカラニが参加したのでした。
だいすけの私的解説
「女王の式典」という意味のタイトルにある「クイーン」は、リリウオカラニ女王のことではありません。このメレをリリウが書いたのは1887年、彼女が王位を継承する4年前です。歌の中のクイーンはイギリスのヴィクトリア女王。兄カラカウア王の代理でカピオラニ王妃とともに式典出席のためイギリスへ旅した際、リリウがヴィクトリア女王をたたえて書いたのがこのメレなのです。
この旅をきっかけに、『クイーンズ・ジュビリー』という名曲が生まれ、また、後のハワイアン・ジュエリーがもたらされることになります。長い船旅の思い出を綴って、彼女はこんなことを書いています。
「海の上での長い時間をどのように使うかによって、その人の個性が表れるのはとても興味深いことでした。私自身はもちろん音楽に向かうのが自然の成り行きでした。幸せなときも悲しみのときも、いつだって音楽が私にとっての慰めですから。」
音楽を心から愛したリリウオカラニが、数年後、自らがハワイ王国最後の「クイーン」となって激動の歴史に巻き込まれていくことを思うと、複雑な気持ちになりますね。
リリウオカラニの銅像は、イオラニ宮殿の裏手、Hawaii State Capitalの敷地内にあります。

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