Q&A

Q&A│マウナケアについてフラダンサーが知っておくべき7つのこと

ハワイ島マウナケアに世界が注目しています
ハワイ先住民の聖地を護る運動の震源地となっているからです。
そこで起こっていることは、日本のフラダンサーにとっても他人事ではありません
なぜなら、日本がハワイ先住民の聖地を汚す側の当事国だからです。

この記事では、ハワイを愛するフラダンサー」の名に恥じない言動と行動のために、最低限理解しておくべき7つの素朴な疑問に答えています。

フラダンサー必見動画

だいすけ

2つの必見動画があるので、まずは観てください

これら映像作品の原動力となったのは、
日本が推し進めているマウナケア山頂への巨大天体望遠鏡建設計画です。
この計画を止めようとする「プロテクト・マウナケア運動」には、日本のフラダンサーにもおなじみのクムフラやアーティストたちが多数参加しています。

Kū Haʻaheo E Kuʻu Hawaiʻi
9月上旬に公開された、有名ミュージシャンやクムフラなどのハワイアン・アーティストが一同に介するミュージック・ビデオです。パワフルなメッセージソングが胸に響きます。

♪Kū Haʻaheo E Kuʻu Hawaiʻi│言葉にマナを乗せて踊るためのフラソング歌詞・解説[ク・ハアヘオ・エ・クウ・ハワイ]言葉にマナを乗せて踊るフラダンサーのための記事です。ハワイ語のフラソング/ハワイアンソングの歌詞を解読するためのポイントやヒントが得られます。...

We Are Mauna Kea
ハワイ出身ハリウッド・スター、ジェイソン・モモアがマウナケアを訪れ、現状を伝える動画です。

What:マウナケアで何が起こっているの?

プロテクト・マウナケア運動に賛同するハワイアン・コミュニティーによる、山頂への道路を封鎖する座り込みが2019年7月からはじまりました。その数は常時数百人、時には1000人を超える日もあります。

Where:それはどこで?

4200メートルもの標高がある太平洋の最高峰マウナケア山頂へ続く道路、マウナケア・アクセス・ロードの入口。
山頂への一本道であるその道路は、標高2200メートルほどのところでフリーウェイとT字路の形でつながっています。
真っ黒な溶岩が広がるエリアにポツンと緑の丘がT字交差点脇にあります。
プウ・フルフルという名のその丘の麓が座り込みのキャンプ地、世界が注目するプロテクト・マウナケア運動震源地です。

Why:目的は?TMTって何?

座り込みの直接的な目的

座り込みの直接的目的は、
マウナケア山頂への「TMT」建設工事着工を阻止すること。
建設工事に使われる重機の侵入を食い止めています。

TMTとは

「TMT」とは

Thirty Meter Telescope「30メートル天体望遠鏡」のこと。
日本が他国の協力で進める北半球最大の次世代超大型望遠鏡計画。
フットボール場ほどの面積で18階建て相当の建物になると言われています。

1800億円という予算規模のこの計画にもっとも多くの出資をしているのは日本。
資金源は税金です。
TMT推進室を置く東京三鷹の国立天文台が法人・一般からTMT寄付金を集めてもいます。
TMTの本体・主鏡・観測装置の製造は、高い技術を誇る日本が担当しています。
TMT建設地としてハワイ島マウナケアを希望したのは日本(国立天文台)。
マウナケア山頂が天体観測に適していることは、すでに13基もの天文台が建っていることからもわかります。
日本もすでにすばる望遠鏡を持っています。
すばるとの連携でTMTを使うメリットが大きい。

マウナケア山頂にTMTを建設する問題点

マウナケア山頂にTMTを建設する問題点とは?

「Desecration」が理由の一つとして主張されます。
神聖を汚し冒涜するという意味です。
マウナケア山頂が先住ハワイアンにとって特別な場所であることは、ハワイの歴史と文化を学べばすぐに理解できることです。

前出の動画「We Are Mauna Kea」の中でプロテクト・マウナケア運動のリーダーたちが語っています。

「私たちは科学に反対しているのではありません。私たちの霊峰山頂に残された手付かずの自然の上に18階建て相当の建物を建設することに反対しているのです。科学に逆らうつもりはありませんが、科学界の無責任な決議には反対です。科学・教育・法人・事業という名目で、聖地や民族の文化を破壊することに私は抵抗します。」
(プア・ケース)

「この論争の主題は天体望遠鏡でも科学でもありません。本当に重要な点は、聖地とそれを護ろうとする先住ハワイアンの権利です。TMT建設地が別の場所だったらハワイアンは誰よりもそれをサポートしたことでしょう。問題はマウナケア山頂が非常に壊れやすい生態環境を有する聖地だということなのです。そこにしか存在しない生物がいます。世界中でマウナケアにだけ生息するという意味です。そこには神聖な水源もあります。山頂はハワイ神話の女神たちが住まう地でもあります。そしてその地はハワイ王国王室御料地です。」
(カホオカヒ・カフナ)

When:いつ始まった? なぜ今?

2014年10月 TMT建設起工式にハワイアン活動家グループが乱入抗議して中断。
2015年 工事着工が幾度も企てられ、その度に反対運動が活発化し中断。
2015年11月 ハワイ州最高裁がTMT建設許可承認手続きに欠陥があったことを認め工事は差し止められました。

しかし建設地としてマウナケアに執着するTMTプロジェクトは、天文台建設に必要な「保護地区利用許可」の再認可を求めて準備をさらに進めます。

2019年7月 ハワイ州知事が州政府全面協力でTMT工事を開始することを発表。
ハワイ州警察・消防隊を動員して、プロテクト・マウナケア運動に参加するハワイアン・コミュニティーの押さえ込みを図ります。

最前線で自分たちの体を投げ打って道を塞いだ長老たちは、州警察によって逮捕連行されました。

その映像がSNSで拡散されると、平和的な反対運動をする先住ハワイアン・コミュニティーに対する州政府の強行に、ハワイ住民、海外の天文学者グループ、ハワイ出身著名人、環境保護団体が不信感を抱き動き始めました。

マウナケア山頂にはすでに天体望遠鏡がたくさん建っているけど、
なぜ今ごろハワイアンは反対し始めたの?

だいすけ

答えは動画の中で↓このように語られています!

「(マウナケア山頂の)管轄に関して私たちが同意したことはありませんし、ましてや天体望遠鏡群の建設にも我々(ハワイアン)が同意をしたことはありません。抵抗運動は最初からあったのです。1968年に最初の天体望遠鏡が建てられた時、それが山頂に建てられる唯一の天体望遠鏡だと聞かされました。その天体望遠鏡の主鏡サイズは30ミリメートルでした。結局13基も建てられたあげく、今度の主鏡サイズは世界最大級30メートル(一基目の1000倍)。これが最後、と説き伏せられつづけ、最新の“最後の天体望遠鏡”がTMTなのです。」
(カホオカヒ・カフナ)

Who:マウナケアを護るのは誰?

ネイティブ・ハワイアン

プロテクト・マウナケア運動を一過性の運動と考えてはいけません。
じつは19世紀にさかのぼるハワイ王国転覆から綿々と続く、先住ハワイアンが行ってきた抵抗運動の一端に過ぎないのです。
ただし、その規模と熱量はTMTをきっかけにこれまでにない勢いで増大しています。

自国の地で少数民族となってしまったハワイアンが、長年受けてきた先住民迫害がプロテクト・マウナケア運動につながっている、
と考えてください。

「We Are Mauna Kea」の動画の中でプア・ケースさんがこう語っています。

「ハワイの先住民が、もうたくさんだ、ノー・モア!と言っているのを世界が見ています。すでにほとんどすべてのものを奪われた私たちに残されたもっとも神聖な地、そこに建てられようとしているものを許すわけには、抵抗しないわけにはいかない。いっそ私の命もすべて奪ってくれ!と自分の体すら投げ出す。これ以上失うものはもうないのです。」

運動に賛同する著名人たち

マウナケアでの座り込みには、
日本のフラダンサーにもおなじみのアーティストやクムフラが多数参加しています。

ケアリイ・レイシェル
プア・カナカオレ
ナプア・グレイグ
ロバート・カジメロ
カワイカプオカラニ・ヒューエット

などなど
名前をあげたらきりがないくらいです。
さらに

ドウェイン・ジョンソン
ジェイソン・モモア
ジャック・ジョンソン
ブルーノ・マーズ

といったハワイ出身の世界的スターたちが運動への参加や、賛同を表明しています。

その姿がSNSで拡散され、この運動を世界に広めています。
一般市民によるデモも、ハワイの各島で、米本土の各地で展開されています。

TMTとハワイ州知事への風当たりが強くなる一方で、どちらもマウナケアへの建設方針を変えるつもりはまったくないと意思表示しています。

How:どんな運動?

スローガン

「Kū Kiaʻi Mauna」

「山を護るために立ち上がる」
という意味

サイン

両手でつくる三角シェイプ
無言の意思表示として使われます

運動を貫く主義・信念

「Kapu Aloha」

祈祷・詠唱・踊りを取り入れ
品位と先住民的価値観を大切にした
儀式的作法のこと

前出の動画のなかで「Kapu Aloha」は次のように説明されます

Kapu Alohaとは
祈祷・詠唱・踊りを取り入れ、品位と先住民的価値観を大切にした儀式的作法のこと。

Kapu Alohaを守りながらの運動を選択した私たちに引き返す道はない。
強い意志のもと立ち上がった私たちが中心となって、山の番人・管理人として、山の如く微動だにしないでここに立って抵抗する。
怒りに身を任せて暴力に訴えることなく。
次世代への手本とならなければいけない。
ケイキも私たちと一緒に参加しているのは、
Kapu Alohaのもとに抵抗する術を学んでもらうためなのです。

現地キャンプでは、フラと儀式、歌とレクチャーが日々提供されます。
すべてはボランティアと寄付によって運営されています。

Action:日本で何ができる?

署名運動

国立天文台TMT室に抗議する署名運動に協力できます。
http://chng.it/gBYfPjmzFL

抗議活動

国立天文台への抗議(デモ、座り込み)ができます。

寄付

関連団体に寄付ができます。
https://www.puuhuluhulu.com/

Kūhaʻo Maunakea アルバム購入で運動をサポートする組織に寄付ができます。

意思表示

ハワイアンの歴史を学び、彼らの声を聞き、SNSで発信することで、Aloha ʻĀinaの歌を歌い踊ることで、サポートの意思を示すことができます。

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