メレノート

♪ʻAlekoki│言葉にマナを乗せて踊るためのフラソング歌詞・解説[アレコキ]

フラダンサーがHulaをもっと上手に踊るために必要なのは、ハワイ語で歌われる歌詞をしっかり知ること。
でもハワイ語を訳すのはむずかしい。

そんなフラダンサーに、フラ・ナビゲーターよしみだいすけが贈るメレ・ノート。

ハワイ語で歌われる「メレ」(フラソング)の歌詞と訳詞、補足情報をまとめていきます。
今日のメレは『ʻAlekoki』(アレコキ)です。

ひとこと解説

♪アオ~レ・イ・ピリヴィ・イ~ア~・カヒ・ワイ・アオ・アレ~コキ~
という歌いだしでヌウアヌを舞台にストーリーを伝えるメレ。
原曲は19世紀中頃に作られたチャント。
作者は後に6代ハワイ国王になるプリンス・ルナリロ。
7代国王カラカウアが手を加えフラのメレとして広めたとも伝えられる。

「ʻAlekoki」歌詞

ʻAlekoki
(Traditional)

ʻAʻole i piliwi ʻia
Kahi wai aʻo ʻAlekoki
Hoʻokohu ka ua i uka
Noho maila i Nuʻuanu

Anuanu makehewa au
Ke kali ʻana i laila
Kainō paha ua paʻa
Kou manaʻo i ʻaneʻi

I ʻō i ʻaneʻi au
Ka piʻina aʻo Maʻemaʻe
He ʻala onaona kou
Ka i hiki mai i ʻaneʻi

Ua malu nēia kino
Mamuli o ko leo
Kau nui aku ka manaʻo
Kahi wai aʻo Kapena

Ma waho aʻo Māmala
Hao mai nei ehuehu
Pulu au i ka hunakai
Kai heʻaheʻa i ka ʻili

E kilohi au i ka nani
Nā pua o Maunaʻala
Haʻina mai ka puana
Kahi wai aʻo ʻAlekoki

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歌の中のキーワード

ハワイ語の歌の意味を知るために最初にチェックしたいのは、歌の中のキーワード。
地名・人名・固有名詞や植物・動物の名前を探します。
『アレコキ』には6つの地名が出てきます。

ʻAlekoki

Nuʻuanu

Maʻemaʻe

Kapena

Māmala

Maunaʻala

ʻAlekoki アレコキ とは?

曲名にもなっているアレコキは滝(壺)の名前。
コオラウの山の上からダウンタウンまでヌウアヌ渓谷を流れるヌウアヌ川の途中にかつてあったらしい。

Nuʻuanu ヌウアヌ とは?

オアフ島ホノルルにある渓谷。
カメハメハ4世とエマ王妃が住んだ家や王族霊廟などがあるハワイ王国ゆかりの地。

Maʻemaʻe マエマエ とは?

ヌウアヌの谷の入り口あたりの地名。
小学校と道の名前として残っている。

Kapena カペナ とは?

ヌウアヌ川の滝(壺)の名前。
近くにあったアレコキはもうないが、カペナは今もそこにある。

Māmala ママラ とは?

ホノルル港の外に広がる湾の名前。

Maunaʻala マウナアラ とは?

丘の名前だったとされるが、今はカペナとマエマエの間に位置するハワイ王族霊廟「ロイヤル・モーソリアム」のハワイ語名として残る。

フラ動画

ヌウアヌを舞台にしたこのメレは、たとえばこんなふうに踊られます。

このように踊られるメレがどんな内容なのか、ハワイ語の歌詞を翻訳してみました。

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「アレコキ」訳詞

アレコキ
(訳:よしみだいすけ)

信じられない
アレコキの水辺
引き寄せる山の雨(山に降る雨そのもの)
存在するそこはヌウアヌ

寒くむなしい私
そこで待っている
思い違い、すっかり
あなたの気持ちはここかと

うろうろする私
マエマエ丘の上
魅惑の香りはあなたの
ここに届けられる

とりこになったこの体
あなたの声(言いつけ)により
強く残る思い
カペナの水辺

ママラ湾の外
荒れる風に舞う飛沫
私をびしょ濡れにする飛沫
海水まみれの肌

私が見る美しいもの
花々、マウナアラの
歌に伝える
その水辺はアレコキ

だいすけの私的解説

ここではライアテアがレコーディングした、歌詞が6番まであるバージョンを紹介しました。
トラディショナル・ソング(民謡のようなもの)なので、いろいろなアーティストによってレコーディングされてきました。

聴き比べをしてみると気がつくことがあります。
歌う人によってバースの数や歌詞が違うのです。
ある人は歌っているバースが、他の人は歌っていなかったり、また全く違う歌詞に入れ替わっていたり・・・

ぼくの知る限り、少なくとも7つの違ったバージョンが存在します。
なぜそんなことになるのか?

じつは、オリジナルのチャントは全部で40行もの歌詞があるのです。
4行で1バースのまとまりとして見ると、10バース(10番)の歌になってしまいます。
長すぎるので半分くらい省かれることになりますが、アーティストによって省く場所が違うので、いくつものバージョンがあるように見えたのです。

では『アレコキ』はチャントでどう歌われ、カヒコでどう踊られるのでしょうか?
2019年のメリー・モナークのステージからこちらを観てください。

カヒコ、アウアナ、どちらでも踊られるこの歌の背景として定説となっているのは、若きプリンスがプリンセスとの成就しなかった恋を語り伝える内容だということ。
そして、傷心のプリンスとは後の6代国王ルナリロで、相手のプリンセスはカメハメハ四世と五世の妹カマーマルです。

このあたりの人間関係や背景は、ハワイ王国の歴史の流れを合わせて勉強すると、より理解が深まります。

歌詞の中に出てくる地名や、各バースに描かれた情景が何を暗示しているのか、についての考察はオンラインセミナーの中で語ったのでよかったらチェックしてください。

もうひとつ、オンラインセミナーでさらに深堀りしたのは、映画「The Haumāna」サウンドトラックに収録された『ʻAlekoki』別バージョンの歌詞です。
ここで紹介した歌詞の3番4番5番の代わりに歌われている、違う歌詞の2バースも合わせて解説しました。

YouTube動画

  • ハワイアン・ソングの歌詞をどうやって訳すか知りたいというフラダンサー
  • 生徒さんに歌詞の解説もしっかりしてあげたいというインストラクター
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30分ほどの動画でしっかり理解ができますよ