メレノート

♪Ua Nani ʻO Nuʻuanu[ウア・ナニ・オ・ヌウアヌ]

この記事は、フラソングのハワイ語詞を自分で理解したい方向けです。解読のためのヒントが得られます。

1.ひとこと解説

♪ウア・ナニ・オ・ヌウアヌ♪
という歌い出しで、ヌウアヌの風物詩とともにカメハメハ4世をたたえるメレ・イノア。

だいすけ

メレの基本情報を確認していきましょう。

2.アーティストは?

もともとチャントであるこのメレを現代風にアレンジした曲がエディー・カマエによってレコーディングされました(1964)。

より現代では、マカハ・サンズや、ナタリー・アイ・カマウウのレコーディングがあります。

Natalie Ai Kamauu
ナタリー・アイ・カマウウ

アルバム『ʻĒ』(2005) および『Eia』(2013) にオリジナル曲「Kiʻowao」とのメドレーとして収録されています。

その他のレコーディング

3.歌詞

Ua Nani ʻO Nuʻuanu
 トラディショナル

Ua nani ʻo Nuʻuanu
I ka lau o ke kāwelu

Ua hālāwai aku lā
Me ka makani nui

E ʻiʻini ana ka manaʻo
E ʻike iā Kahuwailana

ʻO koʻu hoa no ia
ʻO ka ua Kiʻowao

Ua pono nō kāua
Hoʻokohu ana ia ka manaʻo

Haʻina mai ka inoa
ʻO kalani ʻIolani

ナタリー・アイ・カマウウの音源では
6バース目「ʻO → No」
と歌われています。

4.作者は?

トラディショナル

5.解読のポイントは?

解読の難易度

ハワイ王国時代につくられた王をたたえる古いチャントがアウアナとしても現代に歌い継がれている曲。
メレの舞台はかつてのヌウアヌ。言葉少なに今にも通じる景色を描きつつ、何を伝えている?と考えさせられる詩的な表現もある。カフワイラナが「見たい・会いたい」もの、キオワオ雨が「友」などがその一例。

言葉数:ボキャブラリー数は23語と少なめなので+0

言葉の難しさ:ハワイ語初級者には辞書が必要な、メレ頻出度が低めの言葉が少しあるので+0.5

補足情報:歌われている地名の場所はどこか、実際の景色はどんなか、メレの舞台の地理・歴史・文化的知識を持つことで理解が深まるメレなので+1

ということで解読の難易度は2.5

さっそく解読に挑戦してみましょう。
まずはキーワードをチェック!

6.キーワードをチェックしよう

だいすけ

ではこのメレのキーワード(特定の名前)をチェックしましょう。

地名

このメレには地名がふたつ出てきます。

Nuʻuanu
ヌウアヌ

オアフ島の地名

Kahuwailana
カフワイラナ

オアフ島の地名

固有名詞・人名

このメレには固有名詞・人名がふたつ出てきます。

Kiʻowao
キオワオ

【固有名詞】ヌウアヌに降る雨の名前

ʻIolani
イオラニ

【人名】カメハメハ4世の名前の一部

動植物

このメレには植物がひとつ出てきます。

kāwelu
カヴェル

【植物】カヴェル

だいすけ

このメレに紡がれているのは
「花の言葉」23語
「糸の言葉」15語

「花の言葉」と「糸の言葉」ってなに?
…と思った方は次の項目へ。

歌詞についての補足

だいすけ

ナタリー・アイ・カマウウは、オリジナルの楽曲「Kiʻowao」とのメドレー曲としてレコーディングしています。

【「Kiʻowao」の部分 】

Kiʻowao
 作者:Natalie Ai Kamauu

Mai uwē Kiʻowao
Donʻt cry Kiʻowao
Itʻs raining in Nuʻuanu
Loku ana ka ua i Nuʻuanu

I ka mili a ka ua hoʻolaʻi mālie
E ka blossom o ka hala ka ipo
Ke kui ʻia e nā manu
E nā mamo makanoe
ʻO ka lei, kuʻu milimili ē

Puana no ka ipo
Mai ka ʻiu, mai ka lani
Kiʻowao, Kiʻowao o Nuʻuanu

Natalie Ai Kamauu のアルバム『ʻĒ』 より

7.花の言葉と糸の言葉とは?

「ハワイの歌は言葉を紡いだレイ」だとハワイの人は言います。
メレの中には大きく分けて2種類の言葉があります。レイにたとえるなら、「花の言葉」と「糸の言葉」です。

「花の言葉」は、単体で意味を持って存在できる語。品詞でいうなら名詞、動詞、形容詞、副詞です。

「糸の言葉」は、歌詞を構成する文や句を作るために「花の言葉」をつなげる役割をする語です。品詞でいうなら前置詞、接続詞、冠詞などです。歌詞の構成要素としてあらゆる歌に繰り返し現れますが、その役割を知ってしまえばいちいち調べる必要はない言葉たちです。

フラソングのハワイ語は、言葉の種類を見分けることができると解読が簡単になります。

「花の言葉」と「糸の言葉」のしくみを学ぼう!