この記事は、フラソングのハワイ語詞を自分で理解したい方向けです。解読のためのヒントが得られます。
1.ひとこと解説
♪ラマラマ・イ・ルナ・カ・オノ〜ヒ〜・ラ♪
という歌い出しの陽気なこのメレがたたえるのはプリンセス・カイウラニ。女王になる以前のリリウオカラニが、姪に捧げて書いた。
メレの基本情報を確認していきましょう。
2.アーティストは?
時代を超えて多くのハワイアン・シンガーに歌われています。
Sean Naʻauao
ショーン・ナアウアオ
アルバム『Neutralize It』(2000) に収録されています。
Mākaha Sons Of Niʻihau
マカハ・サンズ・オブ・ニイハウ
アルバム『Na Mele Henoheno, Helu ʻElua』(1999) に収録されています。
3.歌詞
He Inoa No Kaʻiulani
(作者:Liliʻuokalani)1
Lamalama i luna ka ʻōnohi lā
Kāhiko uakoko ʻula lā
Ka hōʻailona kapu o ke kama lā
He ēwe mai nā kūpunaHui
Ahāhā, ua nani ka wahine lā
Ahāhā, ka nohona i ka lāʻi
Ahāhā, ua hele a nohea lā
Pua haʻaheo o ke aupuni2
Kiʻina ka wehi o ke kama lā
I ka mokupuni o Mano
Ka hala o Naue i ke kai
Lauaʻe ʻaʻala o Makana3
The Queenʻs Songbook より
Kāohi ʻia iho ka manaʻo lā
A hoʻi mai ʻo Lilinoe lā
Ka wahine noho i ke anu lā
I ka piko o Mauna Kea
4.作者は?
Liliʻuokalani
リリウオカラニ
5.解読のポイントは?
解読の難易度
プリンセス・カイウラニが生まれたのは1875年、このメレが書かれたのは1878年、つまり幼少のカイウラニに捧げられたメレ。歌詞を紐解くとそれがよくわかる。ただしカウアイ島とハワイ島の描写をどう解釈したらいいのかは謎が残る。
言葉数:ボキャブラリー数は39語とやや多めなので+0.5
言葉の難しさ:ハワイ語初級者には辞書が必要な、メレ頻出度が低めの言葉が少しあるので+0.5
補足情報:メレが生まれた背景、だれに捧げられたのかを知ることで理解が深まるので+1
ということで解読の難易度は3
さっそく解読に挑戦してみましょう。
まずはキーワードをチェック!
6.キーワードをチェックしよう
ではこのメレのキーワード(特定の名前)をチェックしましょう。
地名
このメレには地名が3つ出てきます。
Naue
ナウエ
カウアイ島の地名
Makana
マカナ
カウアイ島の山の名前
Mauna Kea
マウナケア
ハワイ島にあるハワイ最高峰の山の名前
固有名詞・人名
このメレには人名が2つ出てきます。
Mano
マノ
カウアイ島の王、マノカラニポの短縮形
Lilinoe
リリノエ
マウナケアの霧の女神
動植物
このメレには植物が2つ出てきます。
hala
ハラ
【植物】パンダナス、タコノキ
lauaʻe
ラウアエ
【植物】マイレに似た香りのシダ
このメレに紡がれているのは
「花の言葉」39語
「糸の言葉」13語
「花の言葉」と「糸の言葉」ってなに?
…と思った方は次の項目へ。
7.花の言葉と糸の言葉とは?
「ハワイの歌は言葉を紡いだレイ」だとハワイの人は言います。
メレの中には大きく分けて2種類の言葉があります。レイにたとえるなら、「花の言葉」と「糸の言葉」です。
「花の言葉」は、単体で意味を持って存在できる語。品詞でいうなら名詞、動詞、形容詞、副詞です。
「糸の言葉」は、歌詞を構成する文や句を作るために「花の言葉」をつなげる役割をする語です。品詞でいうなら前置詞、接続詞、冠詞などです。歌詞の構成要素としてあらゆる歌に繰り返し現れますが、その役割を知ってしまえばいちいち調べる必要はない言葉たちです。
フラソングのハワイ語は、言葉の種類を見分けることができると解読が簡単になります。
「花の言葉」と「糸の言葉」のしくみを学ぼう!