この記事は、フラソングのハワイ語詞を自分で理解したい方向けです。解読のためのヒントが得られます。
1.ひとこと解説
♪ハアヘオ・エ・カ・ウア・イ・ナ〜・パリ〜♪
という歌い出しで、森の中の花を濡らす雨と別れを惜しむ二人を描く、リリウオカラニ作のラブソング。
一般的には一番のみが歌われているが、歌詞は3番まである。
メレの基本情報を確認していきましょう。
2.アーティストは?
世界中のアーティストにレコーディングされています。
ここでは3番まで歌われているデニス・パヴァオのバージョンを紹介。
Dennis Pavao
デニス・パヴァオ
アルバム『Sweet Leilani』(1997) の収録。
3.歌詞
Aloha ʻOe
(作者:Liliʻuokalani)Haʻaheo e ka ua i nā pali
Ke nihi aʻela i ka nahele
E uhai ana paha i ka liko
Pua ʻāhihi lehua o ukahui
Aloha ʻoe, aloha ʻoe
E ke onaona noho i ka lipo
One fond embrace a hoʻi aʻe au
Until we meet againʻO ka haliʻa aloha ka i hiki mai
Ke hone aʻe nei i kuʻu manawa
ʻO ʻoe nō kaʻu ipo aloha
A loko e hana neiMaopopo kuʻu ʻike i ka nani
Dennis Pavao のアルバム『Sweet Leilani』より
Nā pua rose o Maunawili
I laila hoʻohie nā manu
Mikiʻala i ka nani o ia pua
※レコーディングによって歌詞の一部が異なる場合があります
4.作者は?
Liliʻuokalani
リリウオカラニ
5.解読のポイントは?
解読の難易度
世界でもっとも有名で、もっとも多くのアーティストにレコーディングされたハワイアンソング。
「王国終焉の憂き目にあったハワイ最後の女王が、宮殿に幽閉されている間に書いたハワイ人民への別れの歌」と説明されることがあるが、それは間違い。
この詩的な美しいラブソングの真実については、ぼくの会員制オンライン教室の中で詳しく解説しています。バージョンによって少しだけゆらぎがある歌詞についても触れています。
言葉数:ボキャブラリー数は37語とやや多めなので+0.5
言葉の難しさ:ハワイ語初級者には辞書が必要な、メレ頻出度が低めの言葉が少しあるので+0.5
補足情報:歌われている地名の場所はどこか、実際の景色はどんなか、メレの舞台の地理・歴史・文化的知識を持つことで理解が深まるメレなので+1
さらにメレが生まれた背景、だれに捧げられたのかを知ることで理解が深まるので+1
ということで解読の難易度は4
さっそく解読に挑戦してみましょう。
まずはキーワードをチェック!
6.キーワードをチェックしよう
ではこのメレのキーワード(特定の名前)をチェックしましょう。
地名
このメレにはオアフ島の地名がひとつ出てきます。
Maunawili
マウナウィリ/マウナヴィリ
オアフ島カイルア、ヌウアヌ・パリの麓の地区の名前
固有名詞・人名
このメレに固有名詞・人名は登場しません。
動植物
このメレには動植物が三つ出てきます。
- ʻāhihi lehua アヒヒ・レフア
【植物】フトモモ科のオアフ島固有種。オヒア・レフアによく似た近縁種で赤い花を咲かせる。オアフ島ワイアナエ山脈とコオラウ山脈の高地で見られる。 - rose ロゼ
【植物】バラ - manu マヌ
【動物】鳥
このメレに紡がれているのは
「花の言葉」37語
「糸の言葉」14語
(英語の部分を除く)
「花の言葉」と「糸の言葉」ってなに?
…と思った方は次の項目へ。
7.花の言葉と糸の言葉とは?
「ハワイの歌は言葉を紡いだレイ」だとハワイの人は言います。
メレの中には大きく分けて2種類の言葉があります。レイにたとえるなら、「花の言葉」と「糸の言葉」です。
「花の言葉」は、単体で意味を持って存在できる語。品詞でいうなら名詞、動詞、形容詞、副詞です。
「糸の言葉」は、歌詞を構成する文や句を作るために「花の言葉」をつなげる役割をする語です。品詞でいうなら前置詞、接続詞、冠詞などです。歌詞の構成要素としてあらゆる歌に繰り返し現れますが、その役割を知ってしまえばいちいち調べる必要はない言葉たちです。
フラソングのハワイ語は、言葉の種類を見分けることができると解読が簡単になります。
「花の言葉」と「糸の言葉」のしくみを学ぼう!