この記事は、フラソングのハワイ語詞を自分で理解したい方向けです。解読のためのヒントが得られます。
1.ひとこと解説
♪マ〜ハ〜ロ〜・ピ〜ハ〜・モイ・オ〜・エネラ〜ニ〜♪
という歌い出しで1887年に書かれた、後にハワイ王国女王になるリリウオカラニ作の名曲。
リリウがこの歌に込めたのは、兄のハワイ国王カラカウアの代理でカピオラニ王妃とともに出席した、イギリスのヴィクトリア女王50年式典に臨むハワイ王国代表の思い。
メレの基本情報を確認していきましょう。
2.アーティストは?
現代で日本のフラダンサーに馴染みのあるレコーディングは、ウェルドン・ケカウオハのバージョン。
Weldon Kekauoha
ウェルドン・ケカウオハ
アルバム『Kanaka Maoli』(2003) に収録されています。
3.歌詞
Queen’s Jubilee
(作者:Liliʻuokalani)Mahalo piha, Mōʻī o ʻEnelani
Kuʻi kou kaulana nā ʻāina a pau
Nā kai ʻākau nā one hema
ʻIkea kou ʻihi mana nui
Eia mākou i kou kapa kai
I kou lā nui jubilī
I hiʻi mai i ko mākou aloha
Ma luna ou ka malu o ka laniHauʻoliʻoli ʻemepela o ʻĪnia
The Queenʻs Songbook より
I kēia makahiki Jubilī
ʻĀkoakoa nā aliʻi ʻaimoku
A puni ke ao holoʻokoʻa
E hiʻilani, e mililani
Ua hui pū ʻia me Hawaiʻi
E uhi mai ka lani i kona nani
E ola ka mōʻī i ke akua
4.作者は?
Liliʻuokalani
リリウオカラニ
5.解読のポイントは?
解読の難易度
このメレが書かれた1887年とは、リリウオカラニがハワイ王国女王になる4年前。
リリウはカピオラニ王妃とともにハワイ王国代表としてイギリスに渡り、ヴィクトリア女王の50年式典に参加し、現地で歌を完成させた。このメレに紡がれた言葉からいろいろなことが読み取れます。
ウェルドン・ケカウオハのレコーディングしか知らないあなたは、楽譜を見ると新しい発見をするでしょう。
言葉数:ボキャブラリー数は48語と多いので+1
言葉の難しさ:ハワイ語初級者には辞書が必要な、メレ頻出度が低めの言葉が少し(1割〜3割)あるので+0.5
補足情報:メレが生まれた背景、だれに捧げられたのかを知ることで理解が深まるので+1
ということで解読の難易度は3.5
さっそく解読に挑戦してみましょう。
まずはキーワードをチェック!
6.キーワードをチェックしよう
ではこのメレのキーワード(特定の名前)をチェックしましょう。
地名
このメレには地名が3つ出てきます。
ʻEnelani
エネラニ
英国、イギリス
ʻĪnia
イニア
インド
Hawaiʻi
ハワイ
ハワイ(王国)
固有名詞・人名
このメレに固有名詞・人名は登場しません。
動植物
このメレに動植物は登場しません。
このメレに紡がれているのは
「花の言葉」48語
「糸の言葉」13語
「花の言葉」と「糸の言葉」ってなに?
…と思った方は次の項目へ。
7.花の言葉と糸の言葉とは?
「ハワイの歌は言葉を紡いだレイ」だとハワイの人は言います。
メレの中には大きく分けて2種類の言葉があります。レイにたとえるなら、「花の言葉」と「糸の言葉」です。
「花の言葉」は、単体で意味を持って存在できる語。品詞でいうなら名詞、動詞、形容詞、副詞です。
「糸の言葉」は、歌詞を構成する文や句を作るために「花の言葉」をつなげる役割をする語です。品詞でいうなら前置詞、接続詞、冠詞などです。歌詞の構成要素としてあらゆる歌に繰り返し現れますが、その役割を知ってしまえばいちいち調べる必要はない言葉たちです。
フラソングのハワイ語は、言葉の種類を見分けることができると解読が簡単になります。
「花の言葉」と「糸の言葉」のしくみを学ぼう!